味覚会

クラブチームの名前です

クラクション

かなり長い文になります。
(心して読みましょう〜〜読むかよ〜〜)


丘の上の幹線道路は走行車線と対向車線
(それぞれ一車線)の間に、大きな大きな緑
地帯(芝生)があって、
それぞれの車道の幅員は必要最小限の寸法で造られている。
その為、どんなに急いで走っていても、
遅い車が前をふさいでしまうようになると
追い越すことは不可能だ…
否が応でも前車のスピードに合わせて走ることになる。

僕は丘の上から郡山市内に
毎朝 出勤しているが、
丘の上からの長い下り坂、

それから美術館の処にも これまた長い下り坂があり、
この2つが冬期間のネック。
アイスバーン上の運転では恐い思いを強いられる。

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つい、この間の噺です。

丘の上から ツルッツルの坂道を、
僕の車で慎重に下り始めたら
原チャリに乗った方が、
両足を広げるように 路面に靴底を擦るようにして
(転倒防止)
超〜ユックリのスピードで下っていた。

あまりにもその原チャリが遅いため、
僕の車は直ぐに追いついた。
夏場だと、原チャリにお乗りの方は歩道を走ることも多く、
車道を走る四輪車とは
お互い邪魔に思うような事は少ないのだが、
冬場は そうはいかない…歩道は雪だらけだからだ。

原チャリは、僕の車が接近しているのを感じ…
少し左に寄ってくれた。
でも、路肩には氷のような雪はあるし
相変わらず足も広げているので、おいそれと
簡単に追い越すことは出来なかった。
・・・けれど、
イライラするほどに原チャリのスピードが遅いので、
少し迷って僕は追い越すことにした。

僕の車は 小さな車なので、
思ったほど危ない状況でも無かったが、
併走の瞬間、お互いの目と目があった。
僕の目の表情から 相手(原チャリ)が
どんな事を感じたかは知らないが、
反対に 僕は、彼の顔の表情から、
「おいおい、危ねぇよぉ」
という声が聞こえたような気がした。

原チャリの男は、年の頃が30半ば。
作業ジャンパーからすると電気工事関係の職業
なのだろうと推測された。

こんなに寒い朝だもの マスクをするとかマフラーをすると
か防寒対策をもっと・・・と思ったが、
彼は台所にあるステンレスのボウルのような
小さなヘルメットを、チョコンとかぶっただけで
耳も顔も寒さで真っ赤にしていた。
(手袋はしていた)

そして、そのまま走っていくと
丘を下りきったところで赤信号につかまり・・・停車。
(先頭で)

しばらくすると、原チャリが真後ろまで追いついて・・・
停車。
ルームミラーに映る 彼の表情からは、
「ほーーら、追い抜いたっておんなじジャン」
という声が聞こえるような気がした。
(この寒いのに、彼の口元が笑みをつくった。ような気がした)

そして、青信号。
僕は、車のアクセルを全開にした。
(早く この原チャリから離れたかった)

が、10年落ちのオンボロ車だ…
信号からは2車線になるのだが今度は登り坂
ということもあり、
情けないことに 原チャリとはいい勝負だった。

彼の姿はルームミラーから なかなか消えなかった。
僕は、必死の加速を試みたが、
スピードメーターの針は なかなか上がらなかった。

そのかわり
古い車というのが幸いして(災いして)
車からの排気ガスが彼を襲った。

少し大げさに云えば、
排気ガスは青白い煙幕のようになって
彼の行く手を阻んだが、
彼も必死に?僕の車について来ていた。

間もなくして 美術館の処まで登り切ると、
今度は再び下り坂だ。
「おそらく、また・・・」 と、
思いながら 僕はルームミラーを見ていると、
・・・やっぱり彼は足を広げた。(笑)

「よぉーし」 と、僕は一気にスピードを
上げたかったのだが、
まさに路面は ツルッツルのアイスバーン状態…
他の車たちもスロー スロー の運転をやむなくされていた。

しかるに、思うように 前へ 前へ というのは無理だったが、
それでも右に左にと 車線を慎重に替え
2、3台の車を抜きながら
長〜い坂を下った。
が、下りきったところで赤信号につかまり・・・停車。^^;
(先頭で)

しばらくすると、同じく信号待ちで停車している
僕の後続車の間をすり抜けるように
何かがルームミラーに光った。

光ったのは、もちろん 仮面ライダーでは無い、
ステンレスボウルだ。
原チャリは、僕の真横(助手席側)
に回り込むように停まったのだ。
また、目と目があった。
「どーだい!」 という声が聞こえるような気がした。

そして、青信号。
僕は、アクセルをベタ踏んだ。
(一刻も早く あの原チャリから離れたかった)

振り切るように、
なんとか原チャリとの距離を稼ぐように走っていると・・・
路線バスが
ハザードランプを点滅させて停まっていたので、
僕は車線を右に替えた。

『ファァァァ〜〜〜〜〜〜〜』
路線バスが大きなクラクションを鳴らしている。
何でクラクションを鳴らしているのか 全く分からなかった。

「事故?」
「なんで?」 と、思いながら スピードを落とし
バスを横目に過ぎ去るように走ったが、
バスは、
『ファァァァ〜〜〜〜〜〜〜』
もの凄い音を鳴らしっぱなしなのだ。

何事か?と、立ち止まる歩行者。
住宅の窓から顔を出す奥さん。
耳を塞ぐ学生。
逃げる カラス。
『ファァァァ〜〜〜〜〜〜〜』
閉め切った車の中でも かなりの音量である。

僕は、うるさくて うるさくて 一刻も早く
バスから離れたかった。
・・・が、東部幹線の赤信号につかまり・・・停車。
(先頭で)
 ↑
本当です。

すると、バスが…音が…だんだん近づいて来て、
『ファァァァ アアアアア〜〜〜〜〜〜〜』
僕の横で停まった。(オイ)
バスの運転手と目と目が合った。(笑)

運転手は、帽子をぬいで 両手を軽く上げた。・・・
どうやら、クラクションが故障して
鳴りっぱなし状態らしい。
沢山の乗客たちは笑っている。
(笑うしかないのだろうが)
『ファァァァ アアアアア〜〜〜〜〜〜〜』
僕だって笑うしかなかったが、それにしても・・・
『ウルサイ!』

可愛そうなのは 運転手だが、どうしようもない!
…とにかく駅まで乗客を・・・
状態のようだ。

そのうち
ステンレスボウル がやって来て、
僕の車とバスの間に停車。(笑)

『ファァァァ アアアアア〜〜〜〜〜〜〜』
彼は バスを睨み付けるように、あるいは
アキラメ顔のような表情をしながら両手で
耳を塞ぎ、時々首を振った。

僕は、可笑しくて 可笑しくて、声を出して笑った。・・・
ら、その時 また 彼と目と目が合ってしまった。(笑)
「どーにかしてくれよぉ」
という声が聞こえるような気がした。

そして、
彼は一刻も早くこのバスから離れようという気迫で
イッパイの表情をしていた。

そして、青信号。
僕は、アクセルを おもいっきり強く踏み込んだ。
(僕だって一刻も早く この原チャリと
ボッコレバスから離れたかった)

幸いにも 僕の愛車は、バスよりも 原チャリよりも
僅かではあるが 加速がいいらしく、
一足早く地下道に入っていった。
少し遅れて・・・・ヘッドライト ON の原チャリ。
更にちょっと遅れて・・・
ヘッドライト ON の ボッコレバス。

ボッコレバスが、地下道に入った瞬間、
『ファァァァ アアアアア〜〜〜〜アアアアア〜〜〜〜〜』

『ファァ〜〜ファァァァ 〜〜ファァ アアアア〜〜アァ〜〜』

トンネルの中は、信じられないような音響効果をもたらし、
鼓膜が割れんばかりの大音量と化し鳴り響いた。(笑)

その時、
ルームミラーに光る ステンレスボウルと、 ヘッドライトが、
           右に 〜 左に 〜
                    〜 大きく

ヨロメイタ。(爆)